東京都産業労働局商工部創業支援課 技術調整担当課長 加耒 順也の挨拶により開会した。
基調講演は、自治医科大学学長の永井良三先生より「医工連携における付加価値」をテーマにご講演いただいた。医療機器開発は「意味を知ること(その開発が医療に何をもたらすのか?)」が重要であり、その意味が付加価値となる。意味を示すためにデータをとる「データ駆動型」の医工連携が重要であることが示された。
また、これからの医工連携のヒントとして、人の一生の健康状態について「平均ではなく個人ごとの変化」に着眼すること、夏と冬とで循環器領域で高齢者死亡者数が2倍違うというデータを例に「環境要因」に着眼すること、医療を巡るステークホルダーとしての「市民の存在」に着眼することでイノベーションにつながる可能性があることが示された。
実践講演では、先端医療機器アクセラレーションプロジェクト(AMDAP)の事例紹介として、株式会社iCorNet研究所 代表取締役 名古屋大学医学部附属病院・特任教授の秋田 利明先生から「特発性拡張型心筋症に対する新たな治療法(心臓形状矯正ネット)の開発」、株式会社グレースイメージング代表取締役の中島 大輔先生から「心血管疾患に対する、乳酸測定ウェアラブルデバイスを用いた運動強度の管理システムの展開」、アナウト株式会社代表取締役の小林 直先生から「外科医の認識を支援する手術支援システムの開発」についての発表があった。各社からは、独自性や新規性、臨床的価値、今後の展望が語られ、永井先生からご講評をいただくとともに、視聴者参加型で活発な質疑応答がおこなわれた。
続いて、東京都医工連携HUB機構プロジェクトマネージャーの柏野聡彦から、都内中小企業の具体的な開発事例として、リブト株式会社の「日帰り検査可能な卓上内視鏡の開発」、株式会社フジタ医科器械の「スマートデバイス型生体情報モニターの開発」、株式会社スリープシステム研究所の「医療機器用無拘束睡眠深度診断装置の開発」、第一医科株式会社の飛沫飛散を防ぐドレープ「Jベール」が紹介された。東京都庁のもと、東京都中小企業振興公社、東京都立産業技術研究センター、東京都医工連携HUB機構が連携して推進する東京の医工連携のエコシステムの全体像も紹介し、令和3年度の活動が総括された。
最後に、一般社団法人日本医工ものづくりコモンズ 理事長の谷下一夫先生から、研究会全体のご講評をいただき、閉会した。
※医工連携研究会詳細ページ
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