令和6年度 医工連携人材育成講座 開催レポート

~医療機器産業への新規参入、事業拡大のための中核人材育成に向けて~

第1回「医工連携の概論」

日時 2024年6月4日(火)16時00分~18時00分

講師

谷下 一夫 氏  一般社団法人日本医工ものづくりコモンズ 理事長
柏野 聡彦    東京都医工連携HUB機構 プロジェクトマネージャー
伊関 洋 氏   社会医療法人 至仁会 介護老人保健施設 遊 施設長(特別発言)

内容

第1回は、日本橋ライフサイエンスハブを会場に対面で開催しました。 東京都の挨拶に続き、来賓としてお招きした社会医療法人 至仁会 介護老人保健施設「遊」施設長の伊関洋氏から受講生への応援メッセージをいただきました。 その後、東京都医工連携HUB機構プロジェクトマネージャーの柏野聡彦から令和6年度医工連携人材育成講座のオリエンテーションをおこない、カリキュラムの内容や特徴、受講生の属性などの紹介がありました。 第1回の医工連携人材育成講座では一般社団法人日本医工ものづくりコモンズ 理事長の谷下一夫氏と東京都医工連携HUB機構プロジェクトマネージャーの柏野が「医工連携の概論」をテーマに講義をおこないました。 谷下氏は、「医工連携概論 ~AI時代の医工仲間つくり~」という演題で、医療機器開発スタートアップの動向、わが国の医工連携の発展と課題、その課題に対して生成AIがどう答えたかなどに触れた後、課題についての深掘りと谷下氏の見地が示されました。講義の中では受講生が理解を深めやすいよう、医療機器開発に関する具体事例も多く提示されました。 柏野は「東京都医工連携HUB機構の概要 中小企業によるこれからの医工連携」という演題で、東京都医工連携HUB機構、中小企業振興公社、東京都立産業技術研究センターの活用方法、中小のものづくり企業と製販企業との連携、医療ニーズに基づく医工連携、医療機器開発を円滑に進めるヒントとして生成AIを活用した自社技術の活かしどころなどが紹介されました。 谷下氏と柏野の講義の後、以前、本講座の第10回「これからの医工連携」で講師を務めていただいた伊関氏からの特別発言があり、医工連携の取り組みそのものにもAIが活かされる時代になったことなどに触れられました。

出席者によるアンケートへの回答の後、集合写真を撮影し、受講生同士の名刺交換の時間を設け、第1回を終了しました。

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第2回「医療機器の保険収載の基礎 前編」

日時 2024年6月19日(水)16時00分~18時00分

講師

河原 敦 氏   薬事コンサルタント

内容

薬事コンサルタントの河原敦氏を講師にお迎えした「医療機器の保険収載の基礎 前編」では、「保険適用希望に関する制度の概要」について解説いただきました。
前編は、健康保険における医療機器や診療報酬に関する制度的枠組みに始まり、プログラム医療機器に関する令和6年度診療報酬改定事項を含めた、特定保健医療材料の定義ならびに評価、医療機器の保険適用希望における審議プロセスなどについて学ぶ機会となりました。
講演の後、一般社団法人日本医工ものづくりコモンズ理事長の谷下一夫氏からは、「医療機器開発の事業化には臨床的価値が必要であり、初期の段階で臨床の先生と保険適用希望なども含めた議論をおこなうことが、出口を見据えた戦略として重要である。」とのお言葉をいただきました。
参加者からは多くの質問が寄せられ、河原氏より実務的なお話を交えながらご回答をいただきました。特に、保険適用希望にあたって、「厚生労働省 医政局 医薬産業振興・医療情報企画課による事前相談(無料)」を活用することの重要性について強調されました。
最後に、柏野プロジェクトマネージャーより、医工連携人材育成講座における「保険収載の基礎」というテーマの位置づけについて説明が行われました。

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第3回「医療機器の保険収載の基礎 後編」

日時 2024年7月3日(水)16時00分~18時00分

講師

河原 敦 氏   薬事コンサルタント

内容

薬事コンサルタントの河原敦氏を講師にお迎えした「医療機器の保険収載の基礎 後編」では、「診療報酬改定に関する制度の概要」について解説いただきました。
前半では、保険適応希望の枠組みのおさらいおよび令和6年度診療報酬改定における、各種再算定や機能区分・材料価格の見直しに関する改訂事項について、後半では、評価療養および選定療養におけるプログラム医療機器の位置づけについて学ぶ機会となりました。
講演の最後には、保険適応戦略の要点をおまとめいただき、初期段階から開発する医療機器の位置づけを明確にし、現在の臨床的課題をどのように解決するのか整理しながら情報収集することが重要であることをお伝えされました。
講演後は、一般社団法人日本医工ものづくりコモンズ理事長の谷下一夫氏より、「開発の初期段階から、どのように社会実装するのか明確にすることが重要である。」とのコメントをいただきました。
参加者からの多くの質問に対し、河原氏より「保険適応希望におけるPMDAの位置づけ」、「データの信頼性の担保方法」、「保険収載されやすいプログラム医療機器とは何か」などについてご回答いただきました。

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第4回「医薬品医療機器等法の基礎」

日時 2024年7月10日(水)16時00分~18時00分

講師

大竹 正規 氏  一般社団法人 米国医療機器.IVD工業会
          診断・治一般社団法人療機器委員会委員長
          RAQA 委員会副委員長
         デジタルヘルス委員会副委員長

内容

一般社団法人 米国医療機器・IVD工業会の大竹正規氏を講師にお迎えした「医薬品医療機器等法の基礎」では、「医薬品医療機器等法(薬機法)の基礎~基本と、動向、押さえるべきポイント~」というテーマでご講演いただきました。 同法上の医療機器の定義から、クラス分類や申請区分などの薬事戦略に加え、診療報酬(保険適用)戦略、プログラムの医療機器該当性について学ぶ機会となりました。 大竹氏は、「医療機器開発において継続可能なビジネスを目指すためには、診療報酬の希望を確認し、その希望に沿うための薬事要求の理解を深め、その薬事要求に応えるために製品開発の段階から情報を集めていくといったリバースプランニングが重要である」ことを強調されました。 講演の後、一般社団法人日本医工ものづくりコモンズ理事長の谷下一夫氏からは、「継続可能なビジネスを普及させることが社会貢献に繋がるため、ビジネスの継続性から考えるリバースプランニングは極めて重要である。」とのお言葉をいただきました。 参加者から寄せられた多くの質問に対し、大竹氏より「医師との関係構築の方法」、「事業継続性の観点で重要なことは何か」、「診療報酬改定による価格の見直しの可能性」などについてご回答いただきました。。

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第5回「医療機器流通の実際」

日時 2024年7月30日(火)16時00分~18時00分

講師

矢部 文明 氏   株式会社ホギメディカル 顧客満足向上室 顧問

内容

株式会社ホギメディカル 顧客満足向上室 顧問の矢部文明氏を講師にお迎えし、「医療機器流通の実際 ~医療機器を売るために知っておくべきこと~」について解説いただきました。医師の働き方改革制度や診療報酬改定など、医療機関を取り巻く現状の説明に始まり、国内の医療機器産業特有の産業構造や商習慣、市場の特徴を理解するために、医療機器の流通の仕組みからマーケティング方法、その取り組み方について学ぶ機会となりました。 講演の後、一般社団法人日本医工ものづくりコモンズ理事長の谷下一夫氏からは、「医療機器流通において、臨床ニーズに詳しい販売業者との連携を密にしていくことが重要と考える。」とのお言葉をいただきました。 これを受け、矢部氏も「自分で調査するよりも、より詳細な情報を販売業者はもっていることは事実なので、上手く連携していくことは大変重要である。」とお伝えされました。 参加者から寄せられた質問に対し、矢部氏より、「コメディカルとの関係構築の重要性」、「流通における中間マージンの考え方」、「リユースの医療機器の取扱い」などについてご回答いただきました。

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第6回「医療機器分野への参入・医工連携の実践」

日時 2024年8月23日(金)16時00分~18時00分

講師

山森 伸二 氏    日本光電工業株式会社 荻野記念研究所 シニアフェロー
久保寺 幸則 氏   ドクタージャパン株式会社 商品企画部 次長
前多 宏信 氏    フジタ医科器械株式会社 代表取締役

内容

「医療機器分野への参入・医工連携の実践」をテーマに3名の講師をお招きし、ご講演いただきました。
日本光電工業株式会社 荻野記念研究所 シニアフェローの山森伸二氏からは、医療機器開発・事業化における実例から、成功や失敗の要因について解説いただきました。
続いて、ドクタージャパン株式会社 商品企画部 次長の久保寺幸則氏からは、臨床ニーズマッチング会を通した医師との共同開発事例についてお話いただきました。
最後に、株式会社フジタ医科器械 代表取締役社長の前多宏信氏からは、医療機器開発に求められる省令や規格、規格の適合試験や公設試験研究機関の活用などについて紹介されました。
講演の後、一般社団法人日本医工ものづくりコモンズ理事長の谷下一夫氏からは、医工連携に取り組む上で重要なことは、価値の創造や医師との丁寧な対話、薬事対応を開発初期から考えることの重要性を強調されるコメントがありました。
質疑応答では、参加者から寄せられた多くの質問に対し、3名の先生方から実際のご経験をもとに回答をいただきました。
受講生にとって、東京都中小企業振興公社・東京都立産業技術研究センター・東京都医工連携HUB機構を活用した事例や実務に沿ったお話は、円滑な医工連携方法への理解を深める機会となりました。

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第7回「医療従事者と医工連携 看護師・診療放射線技師・臨床工学技士」

日時 2024年9月11日(水)16時00分~18時00分

講師

村山 陵子 氏  看護理工学会 評議員 藤田医科大学 保健衛生学部 看護学科 教授
樋口 壮典 氏    公益社団法人 日本放射線技術学会 東京支部 副支部長 / 渉外・運営検討担当理事
        東京慈恵会医科大学附属第三病院 放射線部 係長
仲條 麻美 氏    一般社団法人 東京都臨床工学技士会 理事 / 医工連携部会長
        順天堂大学 革新的医療技術開発研究センター(GAUDI)

内容

医療従事者と医工連携 看護師・診療放射線技師・臨床工学技士」をテーマに3名の講師をお招きし、ご講演いただきました。
看護理工学会 評議員、藤田医科大学 保健衛生学部 看護学科 教授の村山 陵子 氏からは、看護理工学の見地をはじめ、看工連携による製品化事例をとおして、成功の要因や押さえておくべきポイントをご紹介いただきました。
続いて、公益社団法人 日本放射線技術学会 東京支部 副支部長 / 渉外・運営検討担当理事、東京慈恵会医科大学 附属第三病院 放射線部 係長の樋口 壮典 氏からは、臨床ニーズマッチング会の活用事例や、診療放射線技師も交えた医工連携の流れについてお話いただきました。
最後に、一般社団法人 東京都臨床工学技士会 理事 / 医工連携部会長、順天堂大学 革新的医療技術開発研究センター(GAUDI)の仲條 麻美 氏からは、臨床工学技士との医工連携活動を推進させる取組みや、製品化に至った具体的な事例をご説明いただきました。
講演の後、一般社団法人日本医工ものづくりコモンズ理事長の谷下 一夫 氏からは、医療従事者による医工連携の推進活動に対し、日本の医療機器産業のさらなる発展を期待するコメントがありました。
質疑応答では、3名の講師の方々は、柏野プロジェクトマネージャーと意見を交わしながら、回答されました。
受講生にとって、看護師・診療放射線技師・臨床工学技士からのお話は、医工連携に取り組む上で、臨床現場への理解を深める機会となりました。

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第8回「世界の先端を切り開く医工連携のポテンシャル」

日時 2024年10月4日(金)16時00分~18時00分

講師

光嶋 勲 氏  広島大学病院形成外科 科長 国際リンパ浮腫治療センター寄附講座 教授

内容

「世界の先端を切り開く医工連携のポテンシャル」をテーマに、広島大学病院形成外科 科長 / 国際リンパ浮腫治療センター寄附講座 教授の光嶋 勲 氏を講師にお迎えしました。
交通事故や災害、先天性の病気などにより失われた身体部位を超微小外科手術にて再建させた国内外の症例の解説から、光嶋氏が実際に使用している手術器具や医療機器、それらに付随する臨床課題などをご紹介いただきました。
講演の後、一般社団法人日本医工ものづくりコモンズ理事長の谷下一夫氏からは、光嶋氏のアイデアが脳外科や循環器系など、他の領域における新たな治療法の確立に繋がる可能性や医工連携のさらなる発展を期待するコメントがありました。
質疑応答では、手術用のデジタル顕微鏡に求める機能の質問が寄せられ、光嶋氏より回答いただきました。
また、アルツハイマー病やパーキンソン病など世界最先端の研究について、光嶋氏と柏野プロジェクトマネージャーによるディスカッションが行われました。

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