第8期 医療機器開発海外展開人材育成プログラム

開会式
第1回 講義「アフリカ仏語圏の医療現場の実態を学ぶ」

日時 2020年11月6日(金)14:30~17:00
講師 株式会社タック・インターナショナル 岡安 利治氏
国立国際医療研究センター 国際医療協力局 江上 由里子氏
内容

開会式(※開催レポート参照)
講義では、アフリカ仏語圏の医療を取り巻く実情や医療機器管理の実態、これまでの講師の取り組みを学びました。アフリカ全体では今後、高齢化の進展、感染症以外の生活習慣病の増加が課題になると言われています。医療機器の管理については医療機器管理者の能力強化に向けた仕組みの構築、5S活動による整理整頓の実践など、各国の保健省、医療機関、企業と連携しながら取り組んでいます。一方で、アフリカ仏語圏は国毎に特徴があり、国力の違いがあることも知りました。医療機器メーカーの進出にあたっては、インフラの整備、外国製品との価格競争、メンテナンス体制の構築、機器を使用する医療従事者の育成が不可欠であると感じました。

第2回 講義「ベトナムの医療現場の実態を学ぶ」

日時 2020年11月19日(木)15:00~17:00
講師 国立国際医療研究センター 国際医療協力局 伊藤 智朗氏
内容

講義では、様々な統計データや現地の写真、講師の実体験をもとに、ベトナムの保健医療を取り巻く現状と課題を学びました。経済発展に伴い、患者はより良い医療を求めています。トップレファラルの医療機関では対応できる手術の範囲が拡大しています。一方で、医療従事者の慢性的な不足等を背景に患者ケアは家族がおこなうといった文化が根付いています。医師、看護師といった名称は日本と同じであっても、医療従事者の役割、仕事内容は異なります。医療機器開発にあたっては、価格やメンテナンスといった途上国における一般的な課題のほかに、医療機器のユーザーを明確にしたうえで開発する必要があると知りました。

第3回 検討会

日時 2020年11月26日(木)10:00~13:00
内容

検討会では、受講生が自社の製品を紹介したうえで、展開したい国、ビジネスプランの仮説を説明しました。すでに海外展開している受講生からはこれまでの実績に基づいた課題認識、苦労している点、解決に向けて検討したいことについても話がありました。受講生によって、海外展開の取組状況は異なりますが、どのような問題、課題に対して、どのような製品を、誰と連携しながら、展開するのか、といったことはすべての受講生が試行錯誤しながら考えているところです。

第4回 講義「医療機器管理の実態を学ぶ」

日時 2020年12月4日(金)10:00~12:00
講師 国立国際医療研究センター 医療機器管理室 深谷 隆史氏
内容

講義では、国内の医療機器に関わる法規制の動向や、NCGMによる国際協力の取り組みを踏まえたベトナムにおける医療機器管理の実態と問題、課題を説明いただきました。ベトナムでは院内で医療機器を修理したり、耐用年数を超えて使用したり、ディスポーザブルな製品を再利用するといった状況が見受けられます。一方で、海外からの援助により、院内には最新の医療機器が導入されており、旧式と最新式のものが混在しています。新興国への展開にあたっては、現地の実態に適した医療機器の機能、性能、価格の設定に加え、メンテナンス体制の構築、マニュアルの整備、医療スタッフの育成等、医療機器管理の仕組みを検討する必要があることを学びました。

第5回 検討会

日時 2020年12月16日(水)10:00~13:00
内容

検討会では、これまでの講義を踏まえ、受講生が展開国におけるビジネスプランを説明しました。途上国では企業単独による展開は難しく、保健省やトップレファラル病院(地域の拠点となる高次医療機関)等の協力が不可欠です。自社製品に関する日本でのビジネスモデルをもとに、展開国においても適用できそうなことと変えるべきことは何か、自社製品の展開により展開国が享受できるメリットは何か、どのくらいの期間、コストで実現できそうか、自社のビジネスとして継続できそうか、など今後の検討の観点を議論しました。

プレ発表会

日時 2021年1月14日(木)10:00~11:30
内容

プレ発表では、これまでの講義、検討会、各自で調査、検討した内容をもとに、ビジネスプランを発表しました。海外展開の実績の有無に関わらず、新しい製品、新たな展開国について事業戦略、事業計画を検討することは容易ではありません。国内における自社製品の成功モデルを紐解きながら、海外においても適用できること、現地ニーズを踏まえた変更が求められることを整理するとビジネスモデルの検討のポイントが見えそうです。アドバイザー、メンターの助言をもとに、受講生はビジネスプランのブラッシュアップを進めていきます。

特別講義

日時 2021年1月20日(水)13:00~15:00
講師 国際協力機構 民間連携事業部 企業連携第二課 本村 公一氏
内容

JICAによる講義では、海外展開にあたり中小企業が活用できる支援策を紹介いただいたうえで、JICAの支援策の概要、活用のメリットを説明いただきました。途上国において事業を展開する際には、不平、不満、不足といった「不」の解消を目的に、開発課題を特定することが重要であると知りました。JICAのホームページでは開発途上国の課題や案件事例が検索できます。他社事例であっても、公開されている報告書のなかに各国の医療実態への理解が深まるような定量的、定性的なデータが掲載されています。コロナ禍であっても、海外渡航せずに検討できる内容と検討の手段を見つけ出すこともポイントと感じました。

第6回 実習「臨床工学技士の業務」

日時 2021年1月25日(月)14:00~16:00
講師 国立国際医療研究センター 医療機器管理室 深谷 隆史氏
内容

臨床工学技士の業務の一つである血液浄化業務について、血液透析に係る国内の症例数の推移、透析装置の機能、構造、点検の様子を学びました。NCGMでは日常的な機器の管理、定期的な点検を適切におこない、機器を安全に運用できるよう、添付文書のほか、写真付きのマニュアルを活用し、医療従事者の教育をおこなっています。途上国では血液透析へのニーズが増えていますが、医療機器の管理、運用が適切でなかった結果、事故が起きています。海外へ展開するためには、安全な医療サービスの提供を大前提に、現地の医療従事者のニーズを踏まえた操作性、メンテナンス性を検討する必要があります。

第7回 個別ヒアリング

日時 2021年2月
内容

受講生が海外展開したい製品に関わる診療科の医療スタッフを対象に、個別にヒアリングをおこないました。先生方から貴重な意見を聞くことができました。

第8回 実習「救命救急センターの実態を学ぶ-国内と海外の比較-」

日時 2021年2月10日(水)13:00~15:00
講師 国立国際医療研究センター 救急科 小林 憲太郎氏
内容

NCGMは地域中核型総合救急医療施設として地域に根差した救急医療を提供しています。実習では、東京の救命救急を取り巻く現状、NCGMの救急科の創設の背景、活動理念、診療体制を説明いただきました。救命救急センターで使用されている医療機器、設備、装備品の写真を見ながら、救急の現場では迅速な診断、治療をおこなうために様々な機器が準備されていることを学びました。加えて、昨今のCOVID-19の状況を受けて、感染症への対応も求められています。国や地域、さらにはその時々で流行している疾患を踏まえた、救急の仕組みの構築、医療機器の導入、医療スタッフの配置をおこなうことが重要と感じました。

第9回 実習「内視鏡室の実態を学ぶ」

日時 2021年2月16日(火)15:00~16:30
講師 国立国際医療研究センター 消化器内科 秋山 純一氏
内容

NCGMの内視鏡室の写真を見ながら、室内の設備、診断・治療に必要な医療機器とその管理、昨今のCOVID-19の状況を踏まえた感染防止への対応について説明いただきました。加えて、内視鏡の歴史、種類、技術開発の動向と今後の課題を学びました。内視鏡は繰り返し使うデバイスであり、保守・メンテナンスが重要です。軟性内視鏡は日本企業が積極的に海外へ展開し、シェアを獲得している分野であり、現地に保守・メンテナンスの拠点を設置するなど、サポート体制の構築に努めています。内視鏡を取り巻く国内外の医療現場の実態を通じて、自社製品の海外展開のヒントを得られると思います。

第10回 検討会

日時 2021年3月3日(水)10:00~13:00
内容

検討会では、最終報告会のリハーサルをおこないました。受講生はこれまでの講義、実習、ヒアリングの結果を踏まえ、ビジネスプランをブラッシュアップしました。アドバイザーからは製品の具体的な活用事例、収益性を踏まえた実施計画など、ビジネスプランがより具体的になるようなアドバイスがありました。受講生の間でも海外展開に関する情報交換を活発におこないました。受講生は最終報告会に向けてビジネスプランをさらに検討します。

最終報告会

日時 2021年3月15日(月)17:00~19:30
内容

・開会挨拶
  国立国際医療研究センター病院 病院長 杉山 温人氏
・報告① ユビックス株式会社
・報告② 株式会社アルム
・報告③ 太陽商事株式会社
・報告④ 株式会社フジキン
・講評・閉会挨拶
   国立国際医療研究センター病院 副病院長 兼
   国立国際医療研究センター 医工連携推進室長 丸岡 豊氏

  • 最終報告会レポート