第10期 医療機器開発海外展開人材育成プログラム 活動レポート

開会式 ※オンライン開催

日時

2022年6月23日(木)14時30分~15時00分

内容

開会式には、国立国際医療研究センターから副院長 兼 医工連携室長の丸岡 豊先生はじめ本プログラムにご協力いただく先生方、第10期の受講生の方々、アドバイザー、事務局が参加しました。 予定では国立国際医療研究センターにて参加者が集まって行う予定でしたが、諸事情によりオンラインにて行いました。

第1回 講義「ベトナムの医療現場の実態を学ぶ」

日時 ※録画共有、質疑応答は第2回講義冒頭にて対応
講師 国立国際医療研究センター 国際医療協力局  伊藤 智朗氏
内容

講義では、様々な統計データや現地の写真、講師の実体験をもとに、ベトナムの保健医療を取り巻く現状と課題を学びました。経済発展に伴い、患者はより良い医療を求めています。トップレファラルの医療機関では対応できる手術の範囲が拡大しています。一方で、医療現場では患者のケアはもちろん、医療行為の一部も患者家族自身が行っている実態があり、実際の医療提供の主体は我が国と異なります。医師、看護師といった名称は日本と同じであっても、医療従事者の役割、仕事内容は異なります。医療機器開発にあたっては、価格やメンテナンスといった途上国における一般的な課題のほかに、医療機器のユーザーを明確にしたうえで開発する必要があると知りました。

第2回 講義「ザンビア、セネガルの医療現場の実態を学ぶ」 ※オンライン開催

日時 2022年7月4日(月)14:00~16:00
講師 国立国際医療研究センター 国際医療協力局  法月 正太郎氏、野田 信一郎氏
内容

講義ではセネガルとザンビアの医療を取り巻く実情や医療機器管理の実態、COVID-19の経過、これまでの日本の支援について学びました。アフリカでは今後、感染症以外の生活習慣病の増加が課題になると言われています。医療機器の管理については、1次、2次病院を含めた管理体制の構築、5S活動による整理整頓の実践など、保健省、医療機関、企業との連携をさらに進める必要があります。医療機器メーカーの進出にあたっては、インフラの整備、現地のニーズにあった製品仕様、外国製品との価格競争、メンテナンス体制の構築、機器を使用する医療従事者の育成が不可欠であると感じました。

第3回 講義「医療機器管理の実態を学ぶ」 ※オンライン開催

日時 2022年7月15日(金)14:00~16:00
講師 国立国際医療研究センター 臨床工学室  深谷 隆史氏
内容

講義では、国内の医療機器に係る法規制、安全規格ならびに臨床工学技士の業務内容を学びました。NCGMが取り組んできた事業の経験を踏まえ、ベトナムやザンビアでの医療機器管理の実態と問題、課題を説明いただきました。ベトナムでは院内で医療機器を修理し、耐用年数を超えて使用したり、ディスポーザブルな製品を再利用するといった状況があります。一方で、海外からの援助により、最新の医療機器が導入されており、旧式と最新式のものが混在しています。製品展開にあたっては、現地に適した医療機器のスペックや価格、メンテナンス体制の構築、マニュアルの整備、医療スタッフの育成など、医療機器管理の仕組みを検討する必要があります。

第4回 検討会

日時 2022年7月25日(金)10:00~13:00
内容

第1回目の検討会では、ます、受講生が事前に準備をした各自パワーポイントを用い、自社概要、海外展開を検討している自社製品、展開先の国の状況分析、課題を含めたビジネスプラン等について発表しました。その後、アドバイザーよりコメントをいただき、ディスカッションを行いました。受講生は、これから自社が海外でビジネスを展開するうえで、どのような観点で課題認識を持って、検討を進めていけばよいかの把握ができました。今後の検討会ではさらに、具体的にビジネスプランを検討していきます。

第5回 講義「臨床現場での医療機器の実態を学ぶ」 ※オンライン開催

日時 2022年8月5日(金)14:00~16:00
講師 国立国際医療研究センター 副院長 医工連携室長  丸岡 豊氏
内容

講義では、NCGMセンター病院の歴史と、人間ドックセンター、検査室、外来、手術室、ICU、特定の診療科で使用されている医療機器のお写真を用いて、ご説明をいただきました。通常は立ち入ることができない現場の状況を知ることができました。NCGMでは、バーコードを用いた消耗品の管理、医療機器の中央管理、デバイスの滅菌、整理整頓された保管、考えられた動線が実施されています。国内の病院での医療機器の実状を理解した上で、海外展開を検討することが大切になります。

プレ発表会 ※オンライン開催

日時 2022年8月29日(月)10:00~12:00
内容

プレ発表会では、受講生がこれまでの講義や検討会でのディスカッションを踏まえながら、ベトナムへの自社製品の展開についてビジネスプランを発表しました。各発表について、アドバイザーからは、ビジネスプランがより説得力を持つように、例えば使用するデータを厳選し、分析を端的にまとめるべきといったコメントがありました。また、これまでの本プログラム受講生もメンターとして参加し、自社の海外展開事例を踏まえながらコメントがありました。今後、受講生は国立国際医療研究センターの医療従事者の方々へ個別にお話を伺える機会もあります。最終報告会に向けて一層、ビジネスプランが練られていく予定です。

特別講義 ※オンライン開催

日時 2022年9月2日(金)15:00~17:00
講師 国際協力機構(JICA) 民間連携事業部  真田みぎわ氏、 佐久間美紀氏
内容

独立行政法人国際協力機構(JICA/ジャイカ)は、日本の政府開発援助(ODA)を一元的に行う実施機関として、開発途上国への国際協力を行っています。特別講義では、前半に、JICAの様々な支援メニューの中から、海外展開実現へ向け中小企業が活用できる「中小企業・SDGsビジネス支援事業」についてご紹介をいただきました。従来からある「普及・実証・ビジネス化実証事業」に加えて、新たに「ニーズ確認調査」「ビジネス化実証事業」設けられたとのことで、詳しくご説明をいただきました。後半には、本プログラムで対象国として取り上げているセネガル・ザンビア・ベトナムでのJICA事例をご紹介いただきました。案件事例はJICAのホームページで公開され、誰でも検索が可能となっており、海外展開を検討するうえでの貴重な情報源となります。

第6回 講義「救命救急センターの実態を学ぶ」 ※オンライン開催

日時 2022年9月5日(月)14:00~16:00
講師 国立国際医療研究センター 救急科  小林 憲太郎氏
内容

プログラムでは、東京の救命救急を取り巻く現状、NCGMの救急科の創設の背景、活動理念、診療体制を説明いただきました。NCGMは地域中核型総合救急医療施設として、多くの救急搬送を受け入れています。後半では、救命救急センターで使用されている医療機器、設備、装備品の写真を見ながら、救急の現場で迅速な診断、治療をおこなうために様々な機器が準備されていることを学びました。ここ数年はCOVID-19の影響を受け、感染症への対応も求められています。国や地域、流行している疾患を踏まえた、救急の仕組みの構築、医療機器の導入、医療スタッフの配置をおこなうことが重要と感じました。

第7回 講義「医療機器管理室の見学及び医療機器のハンズオン」 ※オンライン開催

日時 2022年9月12日(月)14:00~16:00
講師 国立国際医療研究センター 臨床工学室  深谷 隆史氏
内容

医療機器管理室での医療機器の中央管理、貸出システム、消毒や管理状況を動画を通じ学びました。医療機器の管理は、臨床現場の要望に応じて適正数の在庫を持ちながら、定期的に保守をおこなうことで、デバイスを安全にまた有効に活用し、病院全体の機器の更新、購入の経済性に寄与しています。また輸液ポンプの日々の消毒、定期点検作業の様子から、医療機器を安全に運用されていることを知りました。これから新興国でも増える血液透析についても、デバイスを安全に管理する仕組みの重要性を学びました。海外展開においては、医療機器のメンテナンスはメーカーのみでなく、医療従事者にも理解、協力をいただくことが大切であると感じました。

第8回 NCGMの医療スタッフへのヒアリング ※オンライン開催

日時 2022年9月
内容

受講生が海外展開したい製品に関わる診療科の医療スタッフを対象に、個別にヒアリングをおこないました。先生方から貴重な意見を聞くことができました。

第9回 実習「コメディカルの業務の実態を学ぶ」 ※オンライン開催

日時 2022年10月5日(水)15:00~17:00
内容

臨床業務に従事する看護師と診療放射線技師について、国内の動向、NCGM内での業務内容、実際に使用されている医療機器の紹介、海外展開に向けたポイントを説明いただきました。看護師の業務は、患者さんの生活を中心に活動をされています。点滴や投薬、来院、入院時の患者補助と夜勤を含む24時間体制で、多くの医療機器を取り扱っています。 診療放射線技師はX線、CT、MRI、核医学を含む診断機器と放射線治療機器の精度管理や診療を中心に、外来診療だけではなく手術室、病棟、救急での検査や放射線被ばく管理も含めた活動をされています。 医療機器の海外展開にあたっては、現地の保健制度、ニーズ、法規制等を考慮し、実際にデバイスを扱う医療スタッフの育成、修理やメンテナンス体制についても検討する必要があります。

第10回 検討会 ※オンライン開催

日時 2022年10月20日(木)10:00~13:00
内容

最終報告会に向けた検討会を実施しました。受講生はこれまでの講義、実習、個別ヒアリングの結果を踏まえ、各自のビジネスプランをアップデートし発表を行いました。アドバイザーからは、聞き手により効果的に伝わるようにといった視点から、発表資料の構成や統計データの取り扱い等について助言がありました。今回の検討会を受けて、最終報告会での発表に向けた最終調整を行います。

最終報告会 ※オンライン開催

日時 2022年11月2日(水)17:00~18:50
内容

最終報告会には、国立国際医療研究センター病院副院長 医工連携室長 丸岡豊先生をはじめ、臨床工学室 臨床工学技士長の深谷隆史先生、本プログラムにご協力いただいた先生方、第10期の受講生、過去のプログラム修了生でメンターの方、東京都産業労働局商工部、東京都医工連携HUB機構事務局が参加しました。
最終報告会で発表された各受講生のビジネスプランは、これまでの講義や検討会を通じて内容が深まり、今後の活動に役立つものになりました。

<最終報告会 次第>
・開会挨拶   国立国際医療研究センター病院副院長 医工連携室長 丸岡 豊 氏
        東京都産業労働局商工部 技術調整担当課長 松本 朋之 氏
・報告①    株式会社三電舎
・報告②    ジェイソル・メディカル株式会社
・報告③    カネパッケージ株式会社
・報告④    株式会社ワイ・イー・シー
・閉会挨拶   国立国際医療研究センター病院 臨床工学室 臨床工学技士長 深谷隆史氏