令和8年度 医工連携人材育成講座 開催レポート

 

~医療機器産業への新規参入、事業拡大のための中核人材育成に向けて~

第1回「医工連携の概論」

日時 2026年6月2日(火) 15時00分~17時00分

講師

谷下 一夫 氏  一般社団法人日本医工ものづくりコモンズ 理事長
柏野 聡彦    東京都医工連携HUB機構 プロジェクトマネージャー
植木 賢 氏   鳥取大学医学部 医学科 医学教育学講座 教授/学長特別補佐
         一般社団法人日本医工ものづくりコモンズ 理事
正宗 賢 氏   東京女子医科大学 先端生命医科学研究所 教授

内容

第1回は、日本橋ライフサイエンスビルディングの大会議室にて対面で開催しました。 東京都の挨拶に続き、東京都医工連携HUB機構プロジェクトマネージャーの柏野聡彦から、令和8年度医工連携人材育成講座のオリエンテーションを行い、カリキュラムの内容や特徴、受講生の属性などを紹介しました。
次に、鳥取大学医学部 医学科 医学教育学講座 医学教育学分野教授 植木 賢氏から、医学側としての医工連携に関してショートプレゼンテーションを行い、「キャリアの大三角形」を引用し、自身の専門性に医療知識とITを掛け合わせることで、希少価値の高い人材を目指すべきとしました。
東京女子医科大学 先端生命医科学研究所教授 正宗 賢氏からは工学側としての医工連携に関して、医工連携の本質をニーズ・技術・価値を繋ぐ「翻訳」と定義し、医療は複雑な意思決定を伴う世界であり、臨床見学を通じた「実践知」を循環させ、本質を掴むことが不可欠であるとしました。
第1回の医工連携人材育成講座では、一般社団法人日本医工ものづくりコモンズ 理事長の谷下一夫氏が「医工連携の概論」をテーマに講義を行いました。 谷下氏からは、「医工連携概論~医と工の認知的壁を越えるには~」という演題で、医工連携を阻む要因として、制度面などの「社会的壁」は解消されつつあり、今後は文化や価値観の違いから生じる「認知的壁」の克服が課題であるとし、医療機器の開発プロセスにおいて、初期段階から医療者をチームに巻き込み、一緒に開発を行う仲間(=医工仲間)として迎え、長期間の信頼関係を築くことが成功の鍵となるとしました。医療現場が自ら課題を見出し、解決策を考える「ユーザーイノベーションモデル」を重視し、出口(医療現場での有用性)を見据えた入口戦略を立てるべきとしました。
柏野氏からは、「東京都医工連携HUB機構の概要」、「中小企業によるこれからの医工連携」という演題で、医療機器を確実に現場へ届けるためには、ビジネスとして継続させることが前提であるとし、 「製販ドリブンモデル」、すなわち薬事や販売を熟知した製造販売企業と早期に連携し、ビジネスの視点で開発をドライブすることが不可欠であると強調しました。ものづくり企業は自社の技術を単に見せるのではなく、医療での応用イメージを伝えるPRが重要であり、そのアイデア出しに生成AIを積極的に活用することを推奨しました。
谷下氏と柏野氏の講義の後、植木氏からの特別発言では、進化の歴史において、身体能力で勝るネアンデルタール人ではなくホモ・サピエンスが生き残ったのは、見知らぬ他者を仲間と見なす寛容性を持ち、大規模な社会を形成できたからであるとし、正宗氏は医工連携を日本のものづくりと医療を支える「文化」として定着させることが、社会貢献への唯一の道であるとしました。
講演の後には、集合写真の撮影および受講生同士の名刺交換が行われ、第1回を終了しました。

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