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ncgm20160719
国立国際医療研究センター
歯科医師
歯科治療は狭く暗い口腔内で行うため視野の確保が重要であり、そのために患者に長時間の大開口を強いるケースもしばしばみられる。これは患者には苦痛であり、歯科嫌いを助長させる原因のひとつとなっている。
デバイスが使われる疾患等の名称・概要
デバイスが使われる検査・手術・処置等
全身麻酔の際の気管内挿管時に誤って歯を損傷したり、動揺歯を脱落させて誤嚥させてしまうことが問題となっている。
顎骨骨折などの手術でプレート固定をする際に、プレートを予定の位置に保持しながらドリリングおよびスクリュー固定を行い、理想的な位置にプレーティングをすることは非常にストレスフルで困難な状況である。
顎骨骨髄炎に対して外科的治療(腐骨除去術)を施行する際、色調が類似しているが、性質の違う腐骨の骨削合範囲に苦渋することがある。
顎骨骨折などの手術時、プレートを曲げて適合させるのは非常にストレスフルで困難な状況である。
抜歯は歯科において、最もよく行われる手術のひとつであるが、骨と癒着している歯の抜歯には難渋することも多く、すでに半数に達しようとしている女性歯科医には力がうまく入らず困難なこともしばしばある。
治療中や手術中に内線連絡が入ると、受話するため治療を中断したり代理人が必要になる。
臨床工学技士
院内感染の防止に医療機器の清拭や消毒は必要不可欠であるが、機器の清掃は使用者本人ではないので、感染のリスクを予測しにくい環境で業務を行っている。
年間件数
病室ないのベッドサイドの床面積には限りがあるため、車輪の部分が大きく、複数台使用すると患者ケアに支障がある。
医師
重症患者はチューブやラインの数が多く、体位交換が非常に困難。特に重症な肺炎などの肺病変がある場合には腹臥位にすることがあるのだが、チューブが抜去されないように、ラインがこんがらがらないように体位変換するのに非常に人手が必要で、困る。
外傷などにより安静臥床が必須な患者にとって、排便がとても困難となる。差し込み便器やおむつ内にすることになるが、仰臥位のまま排便するのはかなりの苦痛を伴う。
救急外来ではストレッチャーによる移動が主であるが、ストレッチャーが重く、操作性も悪い。CT時の移動も大変。強度等は現在のものを踏襲しつつ、より軽く、操作性の良いもの。
頸椎保護のためにフィラデルフィアネックカラーを使用するが、蒸れて皮膚障害を生じることが多い。
IDの認識のため、腕に腕輪の形で各患者に装着してもらっているが、点滴をとるときや処置の時などに邪魔になることが多い。
末梢ライン確保が困難な患者も救急搬送されるが、点滴流量はポワズイユの定理に基づき半径の4乗に比例するため、太い点滴針が必要な場合も多い。留置に失敗することも多いため失敗しにくい点滴針がほしい。
救急搬送される高齢患者の大部分は、身体的ストレスや入院による環境変化などによる精神的ストレスによりせん妄となるが、せん妄を生じてから薬剤を投与してもなかなかおさまらないため、せん妄になりそうだということが分かるモニターがあれば、早めに薬剤投与等により対処できるのではないかと考える。
救急外来で縫合を要するような創部を洗浄する際、周囲を水でぬらしてしまったり、水を吸収するために複数のオムツを要したりするなどして苦労している。多くの場合2人以上の人手が必要となり、救急外来が混んでいる際には困っている。
年間患者数
急性アルコール中毒の状態の患者のアルコール濃度を簡易な手段で知りたい。血中アルコール濃度の程度により、覚醒するまでにかかる時間が予測できるかもしれない。呼気アルコール濃度測定機器は存在するが、非協力的な患者では測定し辛い。血中浸透圧やアルコール濃度測定には時間を要する。
普段気管挿管の際には従来型の喉頭鏡を用いる。挿管が困難な際は、ビデオ喉頭鏡を用いると、より安全に行うことができる。しかしビデオ喉頭鏡は高価なものが多く、また持ち運ぶのに不便なものもあり、病棟で緊急で行う際には用い辛い。
四肢外傷において筋組織の腫脹による内圧上昇から、コンパートメント症候群が発生することがある。筋に針を刺入して圧を測定することができるが、その操作はやや難しく、測定値の再現性に疑問もある。
出生直後の新生児の低血糖症は臨床的所見に乏しく、診断・治療が遅れると予後が不良である。そのため、リスクの高い児は出生後頻回に血糖値のチェックが必要となる。ただ、血液検査が必要なため、親の不安が大きくなることのほか、感染症や皮膚障害のリスクも無視できない。
出産に立ち会う医療スタッフは新生児蘇生法(NCPR)により対応する必要がある。全出生時の15%以上に何らかの蘇生処置が必要と言われており、積極的な蘇生処置が必要な児の場合、心拍数の早期把握のために心拍モニターの装着が推奨されているが、分娩時に心拍モニターが常備されている施設はまれである。
神経障害をきたした新生児の場合、脳圧のモニタリングをすることは全身管理の上で有用だと考えられるが、現在、新生児の脳圧を観血的に(あるいは非観血的に)モニタリングできるNICUはほとんどない。大泉門の触診で脳圧を推定することが一般的であるが、他覚的かつ客観的に脳圧を計測することができれば、児の管理に有用と思われる。
新生児・乳児の尿検査はしばしば行われる。ただ、既存の採尿パックではテープの粘着力が高く(高くないと剥がれやすくなる)粘着部位の皮膚の発赤、損傷が高頻度に発生するため、特に皮膚の未熟な新生児・乳児期早期では検体採取が困難、かつリスクを伴う。侵襲の少ない採尿方法が望まれてる。
新生児集中治療室(NICU)で使用される保育器(閉鎖式保育器Incubator)は、外部からの微生物の侵入を阻止するとともに、内部の保温と加湿を行うことが主な役割である。近年、保育器の性能は年々進歩し、性能は向上しつつあるが、高湿度や高環境温が問題となるケースがある。現在、市販されている保育器には除湿、あるいはクーリングの機能はなく、こうしたケースでの器内環境のコントロールは困難である。
薬剤師
化学療法を行う患者は年々増加している。医療現場においては、増加する抗がん剤調製業務、作業者の安全性確保、正確な調製を行うための技術の確保、作業に伴う消耗品費用の増加が懸念されている。抗がん剤調製ロボットの利用により、医療従事者の作業効率、安全性の改善が期待できるが、現状においては、導入費用が高く、実用性が低いことから普及には至っていない。
髄圧測定管の取り付けが困難であり、髄腔からずれてしまうことが何度かあったため
一人でルートキープする際に取り付けが困難であった
穿刺のあともみだしができない人がいた
患者ストレスの増悪により症状が悪化したり、かえってせん妄が誘発されることがあった
採血管がつけにくく引っ張られて血管から抜けてしまうことがある
インスリンの注射針は、リキャップするようになっており、プラスチックの蓋と針をセットで医療ゴミとして廃棄するので、エコロジー的に良くない。針だけ外せて、プラスチックの蓋はリサイクルに回せると良いと思う。
目の見えない糖尿病患者さんが安全に打てるインスリン注射のデバイスがない。
現在、日本においてインスリンを使用していないと血糖を測定することが保険診療でできない。測定器は購入してもらったとしても、自費での血糖測定チップや穿刺針を継続的に購入することは患者さんに負担が大きい。消耗品を必要としない血糖測定器があれば良いと思う。
認知症の患者さんに頻回にナースコールを押され、看護業務に支障が出る。何か、認知症にも効果があり、安全なおもちゃがあったら良いと思う。
現状では、診療情報提供書とお薬手帳でのアナログのデータやりとりであるが、検査成績などある程度統一したフォーマットで開業医からの専門医施設への紹介だけでなく、専門施設からの開業医への逆紹介での病診・病病連携を推進することで、臨床研究や治験症例の獲得が可能になり、医療情報共有が可能になるデバイスを開発したい。